家政婦として働く私はある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが17年前に交通事故に遭い、それ以来80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし私の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は息子を笑顔で抱きしめるとルートと名づけ、私たちもいつしか彼を博士と呼ぶようになる。ISBN:410401303X 単行本 小川 洋子 新潮社 2003/08/28 ¥1,575
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